2008

06.23

« 「僕の彼女」 »

君がそう言うのなら。

君がそう言うのなら、僕は それに従おう。



「こっち来ないで」

冷たい声でそう言い放つのは、僕の彼女・瑞葉(みずは)。
その言葉に従って、僕はそっと彼女のいるリビングから出る。
それに従わずにいて、僕の大事な商売道具が捨てられちゃ適わない。

僕は、インターネットのアフィリエイトで稼いでいる。
だから商売道具とは、要はパソコンのことだ。
僕が定職に就かずにいることに彼女の異論はなかった。もちろん今だって、そのことに関してうだうだ言われることはない。

なんだってリビングにパソコンを置いてしまったのか…しかもデスクトップ型のを。
持ち運べないどころか、仕事自体がし辛くってしょうがない。
まあ、1LDKだったからリビングに置くしかなかったのだけれど。

彼女の我が儘は、今に始まったことではない。
思えば、付き合い始めた頃からその気はあったのだ。
ただ、同棲し始めてそれが顕著になったというだけで。

最初のうちは「かわいいわがまま」でしかなかったが、それが次第にエスカレートしていった。
そして最終的には…「女王様」と化したのだ。

「健太!アイス食べたいんだけど」
「……わかった」

このセリフだって、何度言われたことか。
どんなアイスがいいかなんて、聞くまでもない。もうとっくのとうに、覚えてしまった。
コンビニにつくと、迷わず100円アイスを通り過ぎ、某有名なアイスメーカーのアフォガードを手に取る。それから、彼女の気が変わった時のために同ブランドのドルチェシリーズをいくつかと、クリスピーサンドをカゴに入れてレジに向かった。

どうして僕が彼女のためにここまでするのか。

よく聞かれるが、特に理由は思いつかない。
「愛してるから」なんてゆう、ありきたりなセリフも出てこない。そんなの、歯が浮くどころの話じゃない。
ただ、彼女がそこにいるのが普通になってしまっただけ。
いないことが、非日常になってしまっただけ。

ゆっくりと帰路を辿って、家に着く。
往復約30分。
鍵をドアに差し込み、手首をひねる。
カチャリと、小気味のいい音がして、ドアが開く。

「ただいま、買ってきたよ、瑞葉」

声をかけて出てきたのは、満面の笑みの彼女。
いきなり態度が豹変するのはいつものこと。
その30分の間に何があったか なんて、僕の知ったことじゃない。

「アリガト、健太」

普段はめったに言うことのないお礼の言葉に、ふと頬が緩む。
彼女の細い腕が、僕の腕に纏わりつく。
ただ、アイスを買ってきただけだというのに…珍しい。
でも。

僕は、これがあるからやめられないんだ…


END.
ふう…ごらんのとおり、難産でした……(オイ)

今までになくねちっこい雰囲気になってしまった感が否めません…
爽やか青春ストーリー描きたいんだけどな!!(マジでか)

てゆか。
初っ端から最後まで、ミステリにしようか恋愛ものにしようか悩んでたんです よ
(ミステリの場合は瑞葉が大量の血痕を遺して失踪、で 次回更新まで引っ張ろうとか思ってました★)
(我ながら無謀です…笑)

んまあ他にもね、いろいろ悩みながら描いていたので、それがそのまんま出てますね、文に…!!
そのうちリベンジしたいです。それぞれの要素を分解させて!

・飴と鞭を使い分けるオンナノコ
・それに溺れるオトコノコ
・どろどろ男女関係
・オトナな雰囲気
・無自覚S女M男
・ほのぼの同棲生活

…まあ、いつか……

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